脱サラコピーライターのほぼ日刊ブログ

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元大企業の営業戦略&数値分析担当のサラリーマンが二児の子供を養いながらコピーライターとして独立した頭の中を淡々と書く。マーケティングや心理学の事を中心に、たまに子育て話を書くブログ。

【数値】投票率推移を”最近の若者”で語るとマズい3つのポイント

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先日投票率関連の記事を書いた。

www.oganomasaya.com


その後選挙関連の情報を漁っていたんだけど、やっぱり「若者の投票率は低い!だから選挙に行こう」っていうのが多い。

ただ、そこから更に感じたのは「”今の”若者は・・・」という雰囲気。明記してる人もいるし、いない人もいるけど、大体そんな雰囲気を醸し出している。

こういう話の場合は、一応まだ僕も若者の一員なので「ほんとにそうなの?」と思って調べてみた。基本的に参考にしたのは衆議院選挙の投票率の年代別推移だ。

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結果は、

若者をターゲットにするのは正しいけど、”最近の”は違う

ということ。

1.全世代右肩下がり

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まずグラフを見て思ったのが、

全世代めっちゃ下がってるよ

という事。なんか若者だけどうのこうの言われてるけど、ホント全世代全く同じタイミングで投票率が上下してる。だから「最近の若者は・・・」という話の仕方は最初っから間違ってるってことだ。100歩譲っても、全体の投票率がかなり落ちてきている事を前提に話さないと。

2.昔から若者の投票率は低い

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最近の若者だけではない。昔から若者の投票率は世代の中では低い。44年以降は一番低いまま、その状況は変わっていない。それで全体的に投票率が下がれば、当然若者の投票率も一緒にスライドする。

ちなみに、若者の投票率が低いのは当たり前だと思うんだよね。だって、もうお婆ちゃんとか、お爺ちゃんとかの世代の候補者について「昔東映の銀幕スターだったんだよ!」とか言われても全くピンとこない。自分に接点が無さ過ぎるんだよね。

例えば、ジャニーズの誰々とか、東野圭吾さんとか、若い子でも大多数が知ってる、というような人が大勢立候補するならもちろん投票率上がると思う。

でも、それは現実的じゃない。その世代で活躍してる人は、自分の専門分野で脂が乗っている時だから選挙に出る意味なんて無い。そうなると、やっぱり40歳とか50歳になって、「あ、昔頑張ってたあの人だ!」という感じで票を入れる事になる。大体上下10歳くらいの有名人までなら反応できるんじゃないかな。

そうなると、20代に反応が良い人は、30代半ばくらいで立候補してもらわないといけない。これはなかなか厳しい条件だ。立候補する本人だって、当選するほどの票を集められるかは微妙だろう。

同じ世代で頑張ってる人、自分の青春時代に活躍していた人、そういう人が出てくれば投票に行こうかなという気にもなる。そういうのもあって、基本的に若者の投票率は一番下が妥当なポジション。

3.若者の投票率が”劇的”に下がったわけではない

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上記2つから昔からの関係性が変わらなければ、若者の投票率のポジションは一番下になるわけで、若者の投票率が今の数値付近にあるのは当然だ。強いていえば、トップの世代投票率との差が広がっているので、その分は悪化していると言ってもいいかもしれない。

ただ、昭和44年⇒昭和58年(14年)でも8%弱悪化してるので、昭和58年⇒平成26年(31年)が8%弱悪化ならむしろ減少傾向が緩やかになったとも見れる。まぁ底を叩きつつあるだけかもしれないが。

注目すべきは若者の反応の良さ

平成8年に何があったのかと思ったら、第41回の衆議院選挙は比例代表制小選挙区を組み合わせた、小選挙区比例代表並立制が導入された年。小選挙区は組織力が無いと得票が難しいシステムだから、というのがどれだけ浸透したか?によるが、その点をニュースなどで取り上げられていたとしたら、全世代の投票率が激減したのもうなずける。

で、その激減幅が最も大きかったのが20代。だから、ニュースなどの影響を受けやすいのがこの世代なんだろう。元々意識が低い層だし、ネガティブな情報に影響を受けやすいってことか、と思ったらそうでもない。

平成17年の総選挙では一気に投票率が上昇する。いわゆる郵政選挙の時。小泉人気か?と思いきや、平成15年の選挙の投票率は低い。平成13年から小泉旋風が起こっていて、人気政治家だったわけだから、それだけでは投票率は上がらなかったということ。

そんなに政治に興味が強くない僕ですら「郵政民営化」という議論だけは覚えている。このグラフの上昇を見て最初に頭に思い浮かんだほどだ。やっぱりその政策の良い悪いは置いておいて、とにかく「分かりやすさ」の訴求なんだと思う。

まとめ

  • グラフから選挙は争点を絞って行って全体の投票率を上げる、そうすれば勝手に若者の投票率も上がる。
  • 難易度が高いが、若者の投票率を狙って上げたいなら、候補者を若者と接点の多い候補にすると良いだろう


世代別投票率の間隔が広がっているのは事実だから、若者ターゲットは間違いじゃないと思う。でも、どの世代でも、難しいことは排除されちゃう。広告なんて、自分に関係あるかどうかは2秒で判断するんだから。

「一般人は政治に対して意識が低すぎる」

じゃなくて、

「一般人への訴求に関して、政治に関わる人達の意識が低い」

と思うべき。

「選挙なんだから」

は理由にならない。自分の生活や人生にダイレクトに影響のある事が、他で沢山有りすぎる。普通に生活してるだけで、心理学を駆使した強烈な広告やサービスに頭を占領されているんだから。

そこに”選挙”をねじ込まなければならないって事に気付いたら変わると思う。